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【症状固定日の意味】
労災や交通事故(人身事故)の相談の際、よく「症状固定日」という言葉が出てきます。
症状固定日とは、労災では「傷病に対して行われる医学上一般に承認された治療方法(以下「療養」という)をもってしても、その効果が期待し得ない状態(療養の終了)で、かつ、残存する症状が、自然的経過によって到達すると認められる最終の状態(症状の固定)に達したときをいう」(労災補償障害認定必携・一般財団法人労災サポートセンター)と説明されます。
要するに、①療養しても効果が期待できない状態で、②症状が残っているけどこれ以上は自然には治らない状態、ということになりそうです。そして、この①と②の両方が認められる日が、「症状固定日」ということになります。
【完治=症状固定日ではない】
症状固定日の説明を見てみると、「残存する症状が」という言葉があると思います。このことから、症状固定日は、ケガや病気が「完治した」(症状がなくなった)という意味ではないことが分かります。
そのため、たとえ痛みなどの症状が残っていたとしても、すでに症状固定日にあると判断される場合もあるということになります。
【症状固定日の役割】
症状固定日の大きな役割の1つは、損害賠償の内容を画定する点にあると思います。
例えば、損害賠償を請求する場合、「治療費」は、基本的に症状固定前の入通院等に対して行われます。他方、後遺障害に基づく損害賠償請求をする場合には、症状固定日にどのような障害が残存しているのかが問題となることが多いです。
このように、損害賠償を行う場合には、症状固定日を基準に、損害の内容や程度に大きな影響を与えることがあります。
【症状固定日の認定の難しさ】
ひとえに「症状」といっても、痛みや体が動かないなど、その内容は様々です。日によって症状に差がある場合もあります。そのため、「自然的経過によって到達すると認められる最終の段階」がいつ到来したのかを客観的に認定することは、とても難しい場合もあります。
症状固定日が問題となった際には、診断書、カルテなどの証拠から症状固定日を判断することになります。
(弁護士 村岡)