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みなさん、「雇用特区」って聞いたことはありますか?
安倍内閣が進めている「国家戦略特区構想」のうちの雇用分野のことです。
先日、この「雇用特区」に福岡市が指定されたとのニュースが入ってきました。
■朝日デジタル3月28日———————————————-
「政府は28日の特区諮問会議で、地域を限って規制を緩める「国家戦略特区」について、大都市では東京圏、関西圏の2特区を指定した。このほか、農業の特区で新潟市と兵庫県養父(やぶ)市、雇用で福岡市、観光で沖縄県を選んだ。
首都圏の特区は東京都を核とし、神奈川県と千葉県成田市を加えた地域。関西圏の特区は大阪府、京都府、兵庫県。両地域とも医療や雇用、まちづくりの規制緩和を駆使し、ビジネスや医療の国際的な拠点をつくる。
農業特区では、農業生産法人の設立要件の緩和などで企業参入を促す。雇用特区では、雇用契約の相談センターの設置などえ外資系やベンチャー企業の進出を支援する。沖縄の観光特区はビザの発給要件を緩和し、観光客や研究者を増やすのが狙い。」
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それで、このお話を周りの人のしてみたのですが、関心も高くないようで、あまりピンときてない方も多いようです。
しかし、とっても重要なことなので、関心をもって議論していくことが大切だと思いますので、この話題をご紹介します。
そもそも、「特区」構想とは何でしょう?
これは、ある地域(つまり「特区」)だけ、規制緩和をしようというものです。
規制緩和の対象はいろいろですが、いま福岡市で問題になっているのは「雇用」です。
雇用に関する規制は、憲法に由来し、労働基準法、労働契約法、派遣法など様々な労働法によって定められています。
なぜこんな規制が法で定められているかというと、労働条件を企業と従業員との間で自由に決められるようにしておくと、従業員に不利な契約が結ばれてしまうので、法律によって最低基準を決めておく必要があるからなのです。
そして、この最低基準、例えば1日の労働時間は8時間ですよとか、解雇には常識的に納得できる理由(客観的に合理的で社会的相当性がある理由)が必要ですよとかのルールは、日本全国どこでも通用するルールとなっています。
で、「雇用特区」というのは、ある地域に限って、こういった法律のルールを緩和しましょうというものです。
福岡市がどういったルールを「緩和」して何をしようとしているのか、今ははっきりわかりませんが、知らないうちに、超長時間させられても違法にならなくなった・・・なんて事態は避けたいものです。
なので、情報を得て、議論する、ということが大切です。
このブログでも、また情報発信していきたいと思いますので、みなさん周りの方と「福岡市が雇用特区に指定されたらしいよ?」とお話ししてみてください!
(弁護士 前田 牧)