お電話でのお問い合わせ(受付:平日10時〜16時)092-409-8333
先日、福岡県労連さんで、憲法についての講演を行いました。
自民党から改正憲法草案が出されていますが
これを今の憲法を比較することで
憲法についての近いを深めることができます。
ですから、改憲草案、とってもいい教材なのですよ。
さて、
憲法には、国民の「自由」が多く規定されています。
何からの自由か、というと、「国」からの自由です。
これ以上、「国」は「国民の自由」を制約してはいけないと
というルールですね。
このルールを守らなければならないのは、「国民」ではなく「国」です。
つまり、憲法は、「国」(わかりやすく言えば政治家とか行政とか)に与えられた
ルールブックなのです。
国民の自由の話に戻りますと、
例えば、改憲草案には、表現の自由の項に新しい規定があります。
現行憲法 第21条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、
これを保障する。
改憲草案 第21条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由を保障する。
2 前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを
目的とした活動を行い、並びにこれを目的として
結社をすることは認められない。(←New!)
このように、第21条には2項が新設されていますね。
「結社」というと秘密結社みたいなイメージですが、
多数の人が政治、経済、宗教、芸術、学術、社交など
さまざまな共通の目的をもって、継続的に結合することを「結社」といいます。
労働組合も弁護士会もアイドルのファンクラブも、
よくある「●●の会」みたいなのも、みんな「結社」です。
で、今の憲法では結社の自由は保障されていますが
改憲草案では
「公益及び公の秩序を害することを目的として結社」
については、会を作ること自体を認めない、としています。
これはとっても大きな、そしてよくわからない制約です。
「公益及び公の秩序を害する」って、どの程度のものなのでしょうか?
それを誰が判断するのでしょうか?
改憲草案の説明によれば、オウム事件を念頭においているようですが、
少なくとも、それより広範な制約が可能なように思えます。
自由は、それを享受している間は有り難みが無く、
制約されてはじめて「昔は自由だったなあ」と感じるものですよね。
しかも、表現の自由は、一度制約されてしまうと
元に戻すのはとても難しいと言われいます。
だって、「元通り、自由に会を作りたい!」と求めることを目的とした会を作ろうとしても
その会を作ること自体、認められないかもしれません。
そうすると、そういう声は政治的な力を失っていくのかもしれません。
・・・そいう風に
改憲草案と今の憲法を見比べると、
憲法についての理解が深まるでしょう?
今回の講演では時間の都合でここまで踏み込めませんでしたが
また機会があれば、わかりやすくお話ししたいと思いますー。