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2019年5月27日、福岡高等裁判所で審理中の九州建設アスベスト訴訟の審理が終わりました。判決は11月11日に言い渡される予定です。
現在アスベストが入った建材を使うことは禁止されていますが、以前は防火のためということで非常に多く使われていました。
そのため、大工さん、左官さんなど建設現場で働いていた方々の中には、建物を建築、解体、補修する際にアスベスト粉塵を浴びて、肺がんや石綿肺などの病気になってしまった方が多くおられるのです。
こういった方々が、国と建材メーカーを訴えているのが建設アスベスト訴訟です。
九州では、2011年10月に福岡地方裁判所に提訴し、2014年11月7日に一審の判決が言い渡されました。建材を扱うときに防じんマスクの着用を義務付けなかったのは国の落ち度であるとして、国は責任を取って被害者に損害賠償(慰謝料の支払い)をしなさいという内容のものでした。
しかし、この判決では、建設現場に多くおられる一人親方に対する国の責任は認められませんでした。一人親方は「労働者」ではないから、国が労働安全衛生法という法律で守るべき対象ではないというものです。
また、建材メーカーの責任も認められませんでした。その理由は、原告は自分の病気に関係のありそうなすべての建材メーカーを訴えないといけないというものでした。
福岡高等裁判所では、これらの点について、反論を行ってきました。
九州訴訟の一審判決の後、九州以外の地域での高等裁判所の判決では、国の責任は認められ続け、さらに、一人親方に対する責任や建材メーカーの責任も認められてきています。
九州訴訟もこれに続けるよう、見守っていてください!
(弁護士 前田 牧)